伝統と革新が交差する、次世代のキモノプラットフォーム

佐藤孝弘が提案する、社会課題を解決する新たなキモノの形

日本の伝統的なキモノ文化と高度な縫製技術が失われつつある現代。そんな社会課題を解決するために、デザイナーの佐藤孝弘が提案するのが「次世代のキモノプラットフォーム」である。キモノを日常生活に取り入れやすくするため、3つのアイテムで構成されたこのプラットフォームは、伝統的なキモノへの需要と縫製工場への公正な賃金の確保を促進する。

佐藤がこのプロジェクトを始めたきっかけは、母親の遺品から見つけたキモノだった。子供の頃のキモノにまつわる思い出を思い出し、キモノを着たいという思いと、着方がわからないという現実に直面した。また、障害を持つ息子を持つ佐藤は、障害者の雇用に関わる経験から、自身のような子供たちが喜んで働ける場所を作りたいと考えた。

「次世代のキモノプラットフォーム」は、ただの製品ではなく、日本の伝統的なキモノ文化の消失と、日本と西洋の高度な縫製技術の喪失という2つの社会問題を解決するための社会デザインの役割も果たしている。日常生活にキモノを取り入れやすくするため、3つのアイテムで構成されている。これらをフルセットで着ることも、普段の服装と一緒に単品で着ることも可能だ。世界中の日常生活にキモノを取り入れるきっかけとなり、伝統的なキモノへの需要と、縫製工場への公正な賃金の確保を促進する。

このプラットフォームは、特別な技術を必要とせず、3つのアイテムを単独で着ることも、通常の服装と一緒に着ることも可能だ。これにより、キモノを着て出かける機会が増える。キモノの魅力である「宮つ口」のようなユニークな袖の形を保ちながら、キモノを再設計している。また、「次世代のキモノプラットフォーム」は1つのデザインであり、長寿命デザインであるため、トレンドに追従することはない。縫製工場が同じパターンを続けて縫うことができるため、技術を蓄積し、スキルを向上させることができる。

最終的な目標は、障害者の雇用を実現することであり、これにはCEOの息子も含まれる。しかし、最初から日本の縫製技術を採用することは難しいため、まずは西洋の縫製工場でキモノの需要を作り出し、この活動を最終目標につなげる試みを行っている。

また、環境に配慮したエシカルブランドとしてのアプローチも行っている。新たな製品を生産するだけでなく、既に市場に存在するものや、自分が持っているものを大切に使い続けることが重要だと考えている。これは、自然環境に対する負荷を減らすための持続可能なアプローチである。

このプロジェクトは、2020年にA' Social Design Awardのアイアン賞を受賞している。これは、プロフェッショナルな要件と産業要件を満たすように設計され、実用的で革新的な創造物に授与される賞である。業界のベストプラクティスと適切な技術特性を統合し、達成感とポジティブな感情を提供し、より良い世界に貢献することを評価されている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Takahiro Sato
画像クレジット: Photographer: Nobuyuki Arai, Mance Thompson, Serene Mangmati, Takahiro Sato
プロジェクトチームのメンバー: Social Designer/Chief Designer(Creative Director): Takahiro Sato Graphic Designer : Asami Sato
プロジェクト名: Next Kimono
プロジェクトのクライアント: Takahiro Sato


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